理事長あいさつ

藤本 茂理事長
  • 自治医科大学 神経内科

藤本 茂
Shigeru Fujimoto


 このたび,内山真一郎先生の後を引き継いで日本栓子検出と治療学会の3代目の理事長に就任いたしました.まず,偉大な諸先輩方の本学会に対するこれまでの多大なるご尽力に深く感謝申し上げます.そして今度は,我々が次世代の後輩たちに何を残せるかについて,真摯に考えて取り組んでいく重責を実感しております.

 本学会は,初代理事長の故古幡博先生が経頭蓋ドップラー検査(TCD)の普及を主たる目的として設立され,その後血栓症,塞栓症の診断,治療に関する幅広い分野を,神経内科,脳卒中専門医を中心に,脳神経外科,循環器内科,心臓血管外科,医用工学など各専科が横断的に議論する学会へと進化してきました.血栓塞栓症の診断を,超音波検査をはじめとした最新の診断技術を駆使して実践し,的確な治療を選択するプロセスを追求するうえで,本学会が担ってきた役割は非常に大きいと思います.国立循環器病センターのレジデント時代に,若手医師として本学会に初めて参加した時に,わくわくするような刺激を受けたことを今でも覚えています.

 学会の役割は,各専門分野についての研究成果や課題について,その分野や関連分野の専門家が集まり自由闊達な議論を深めることと同時に,若い研究者,臨床家を育成することも重要です.そのためには多くの若手研究者,臨床医が集い,時には称賛され,時には叱咤激励されながら成長していく場を提供すること,タイムリーな話題をシンポジウムに取り上げ,参加者が最新の情報に触れられること, そして常に学会の在り方についてリアルタイムに方向修正ができていること,などが求められます.一方で昨今は,企業との関わり方など学会を取り巻く環境や若手医師が学会に参加するための労働環境も大きく変貌しています.多くの学会が存在するなかで,若手医師の新入会や,斬新なアイデアに基づくハイレベルで刺激的な演題を数多く確保することも大変難しくなっています.

 そのなかで,多分野からの多くの研究者や医師が積極的に参加でき,コメディカルスタッフにも広く開放され,リアルタイムな話題に関する実りある議論を展開していくためには,思い切った抜本的な改革も必要になると考えます.皆様からのご意見を謙虚に受け止めながら誠心誠意取り組んでいく所存ですので,ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.

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